
1978年にアパレルの繊維工場を営むマウロ・ヴァヌッチがテヌータ・ディ・カペッツァーナから畑を購入したところからピアッジャの歴史が始まります。初めて自ら醸造を行い、瓶詰めした1990ヴィンテージが友人や専門家から非常によくできたワインだと誉められワイン造りに対する情熱が一気に加速し、元フレスコバルディやアンティノリ、テスタマッタの醸造家として活躍したエノロゴ、アルベルト・アントニーニと1993年にイタリア最大のワイン見本市ヴィニタリーにて出会い、 その後1996年にエノロゴとして採用しました。
アルベルト・アントニーニはピアッジャをこう語ります。
『彼はもともとアパレル業界からの転身だがワインが好きで好きでたまらなくワイン造りを始めた人物。彼のワイン造りに対する姿勢は時にまるで“教育ママ”のようなヒステリックさを持ってワインに接する事さえある。特にその姿勢が垣間見えるのがいわゆる“オフ・ヴィンテージ”。機械により一斉に収穫を行う生産者は別としてある程度の生産者ならば“オフ・ヴィンテージ”でも丁寧に造りさえすれば結果を出せる。しかし彼の葡萄との向き合い方は異常とも言える。』 『カルミニャーノはトスカーナにおいて最も早くカベルネ等を作付けした土地。カルミニャーノこそ元祖スーパー・トスカーナなんだ。そして今最も素晴らしいカルミニャーノを造るのがピアッジャ。ピアッジャもスーパー・トスカーナと呼ぶべき秀作さ。』
アルベルト・アントニーニが絶賛するだけのことはあり、ピアッジャはその品質が各方面に認められ、“イタリアを代表するワイン”と言っても過言ではない高い評価を獲得しております。
現在はマウロの娘、シルヴィアがオーナーとなり運営を行い、カルミニャーノ協会の会長も務めております。
ピアッジャの畑
ピアッジャの畑がある辺りは非常に起伏のある丘陵地に位置しております。畝の間にはソラマメと麦が植えられております。他の生産者と比べ非常に低い位置に仕立てています。これは葉を茂らせる面積を増やす為と、地面に転がる石からの反射熱を葡萄が受けやすくさせる為。土壌は石灰質土壌と粘土質土壌。そこかしこに小石がゴロゴロと転がり、この石が昼間に太陽熱を吸収し、溜め込んだ熱を夜間に放出し葡萄の成長を促します。ちなみに「石」をイタリア語で「サッソ」。ピアッジャのイル・サッソ・カルミニャーノはこの土壌の石にちなんで名付けられております。葡萄の樹は等間隔に80cm毎に植えられ、畝の感覚も全て2mずつ。また、全ての畑、全ての樹に対して芽かきを行い、新梢の数を4つに均一化します。新梢に付ける房は2つ。これも最終的には片方を間引き、1本の樹に対して4房のみ残します。このように厳しく管理された畑でピアッジャの葡萄は栽培されております。
畑同様”ヒステリック”なまでに整ったピアッジャの醸造所
また、アルベルト・アントニーニをコンサルタントとして採用したのを機に必要最低限の機材しかなかった醸造所を立て直します。畑でも等間隔に植えられた葡萄の樹など圧巻でしたが、醸造所においてもアルベルト・アントニーニが言う『ヒステリック』なまでの厳格さは変わりません。整然と並べられた樽やボトルもさることながら床にご注目ください。ピカピカに磨き上げられた床は、彼のワイン造りに対する姿勢を物語っております。
ワイナート46号掲載
ワイナートが現地取材で大きく取り上げる様に、ピアッジャは近年急速に知名度を高めており、今後更にイタリアを代表する生産者として注目を集めていく事は間違いありません。掲載された文章の中で特に目を引く単語が「厳格」です。タイトルにも「伝統に基づいた革新を成し遂げた厳格な男」と強調するように、ワイナートのインタビュアーも相当「厳格」な生産者だという印象を受けたのだと思われます。しかし美味しいワインを造るためには「厳格さ」、「真面目さ」が必要条件なのも事実です。ピアッジャにはそれに加え、環境と技術が整っています。
スローフード協会発行SlowWineより
生産者情報
70年代にマウロ・ヴァヌッチにより創立されたピアッジャでは、徐々に畑の面積を広げ、ワイナリーも新しいものを建設した。現在主にワイナリーを運営しているのは娘のシルヴィアだが、マウロと叔父のパオロも手伝っている。栽培家のステファノ・ディーニや醸造コンサルタントのアルベルト・アントニーニと協力している。
畑情報
畑は3つの区画に分かれていて、カルミニャーノとポッジョ・ア・カイアーノにある。ワイナリーの近くにある70年代に購入した最初の畑以外、他のすべての畑は90年代に植えられ、ギュヨーで仕立てられている。10月中旬に完熟した葡萄を収穫する。
ワイン情報
このワイナリーはカルミニャーノのポテンシャルを最大限発揮している。フラッグシップはカルミニャーノ・リゼルヴァだ。タバコの心地よい香り、キメの細かいまろやかなタンニンがあり、綺麗なバランス。イルサッソ・カルミニャーノは別の畑で作られており、赤いフルーツやスパイスの香りが表れ、口中ではビロードのようにまろやかで甘味がある。コストパフォーマンスが高い。ポッジョ・デ・コッリも大成功だ。フルーツやハーブの香りがあり、タンニンが上品で、余韻がベルベットのように柔らかい。
ヴェロネッリで全掲載ワイン中3位獲得
‘ポッジョ・デ・コッリ’
オーナーのマウロ・ヴァヌッチは、カルミニャーノがイタリアの他のどの産地よりも早く、18世紀半ばからフランス品種を栽培し続けてきた土地だという理由からカベルネ・フランに着目しました。樹齢が30年ほどになるカベルネ・フランの出来が素晴らしいことに気付き「ポッジョ・デ・コッリ」が産まれました。
ヴェロネッリ誌で赤ワインの中3位の97点獲得!
現行2011ヴィンテージでは2013年度版ヴェロネッリ誌にて97点を獲得しております。97点は掲載全ワインで3番目の高得点。同じく97点を獲得しているワインの名前を挙げると、リコルマ、ガヤのソリ・サン・ロレンツォ、テッラ・ディ・ラヴォーロ等、そうそうたる顔ぶれです。また、2004、2010ヴィンテージでも全ワイン中2位となる97点を獲得しております。