フランコ・テルピンはスロヴェニアの国境に接したサン・フロリアーノ・デル・コッリオに位置する生産者です。テルピン家はこのサン・フロリアーノ・デル・コッリオで何世代にもわたって葡萄栽培を続けてきた農家で、長い間地元の協同組合に葡萄を卸すのみでしたが、1994年から自社での瓶詰めを始めます。その後、地元のカリスマ生産者「ヨスコ・グラヴナー」や、トスカーナの有名醸造コンサルタント「アッティリオ・パーリ」との出会いにより、90年代後半から、有機栽培へと移行し、また、白ワインでもマセラシオンを行うなど、フリウリの伝統的な醸造を試み始めます。
テルピンの畑は、白ワインやメルローの銘醸地として有名なコッリオの中でも一番標高の高い一帯(標高約150m)に畑を所有し、非常にアロマティックな葡萄が生み出されます。土壌はコッリオの特徴である「ポンカ」と呼ばれる粘土質やシルト(大きめの砂質)、フリッシュ(白亜紀初期~第三紀漸新世の砂岩・泥岩)の混じる土壌です。ここで何世代にも渡って葡萄栽培を続けてきた先祖や土地への敬意、そして自分のワインを口にする人々への愛情をあらわすため、有機栽培の専門家「ミシェル・バルボー」のアドバイスを得て、認証はないながらも、現在はビオディナミに準じた栽培を行ない、硫黄や硫酸銅は必要に応じて散布、500番プレパラシオン(牛の角に詰めた牛糞)を肥料として使用しております。またハーブを発酵させて肥料として使用するなど、徹底して自然な物のみで栽培を行なっております。また自身のワイナリーのロゴにもビオディナミの象徴である月をあしらったデザインを採用しております。
醸造面では、フリウリ独特の醸造方法である白ワインでのマセラシオンを行う他、野生酵母での発酵、無濾過、無清澄、そしてSO2の使用は瓶詰め時のみで必要最低限に留めるなど、極力自然のままの醸造を心がけております。弊社スタッフ訪問時も、会話の中で、「ワインの個性」「綺麗な葡萄造り」という言葉をしきりに使用しており、また、「ワインは自分の子供のようで、少し手を加えて個性を伸ばすことが大切」という言葉に、彼のワイン造りに対する哲学の一端が垣間見られました。
各誌ガイド掲載文
ガンベロ・ロッソ2011
フランコ・テルピンは自分の土地を愛し、感謝し、ビオディナミ/ビオロジックで葡萄を栽培する一人。標高の高いサン・フロリアーノに位置し、葡萄畑や森、牧草地などに彩られた美しい景観の中に位置する。剪定から収穫に至るまで畑仕事のすべてを手作業で行い、スキンコンタクトをし野生酵母で発酵。無清澄、無濾過で瓶詰め。一貫した哲学を持つ。これこそがテルピンのワインです。
ヴィーニ・ナチュラーリ・ディタリア
フランコ・テルピンの性格を紹介するのには、ある一つの出来事を話すだけで十分。それはワイナリーを訪問した時に、自分の醸造の話や、工業的に造っている生産者の悪口を言うのではなく、ただ席につかせ、パンを切ってチーズや自家製のサラミを出しながら、自身のワインを次から次へと試飲させてくれたことです。ワインの造り手を知るのにこれ以上の方法はありません。フランコは今どき珍しく、とても正直な人です。自社畑は全部で10ha。そのうち2haはスロベニアにあります。1994年より瓶詰めを始め、2001年より実験的に白葡萄のマセラシオンを始めました。ベーシックラインの“QuintoQuarto”はコストパフォーマンスが高く、非常に美味しいです。フランコ・テルピンは真の自然栽培家です。
テルピンの最上級キュヴェ、「シアリス」
テルピンが最高の葡萄を収穫できた年のみ造るこのワイナリーの最上級キュヴェです。「シアリス」とはエチケットにも描かれている鳥、「ルリツグミ」のこと。喉から胸にかけての毛色が、ワインの色によく似ていたことから名付けられました。