
元ドゥカティのエンジニアだったマルコ・カゾラネッティ氏は「ワイン造りはパッションによって行うもの」という信念により、数々の農業賞を受賞する日本人、福岡正信氏の著書から自然農法を勉強する等、誰からも教わらずに独学にて得た自らの哲学によりワイン造りを行っています。
畑では葡萄を仕立てる支柱に虫除けの効果がある松の木とユーカリの木を使うので、殺虫剤は使いません。土壌を健全な状態に保つ為、海藻や蜂の巣から造った肥料とゼオライト(沸石)等を畑に撒き、化学肥料はおろか、銅や硫黄すら一切使いません。さらに畑にて選定した枝は炭にして畑に撒きます。こうすることにより、病気の蔓延を防ぐとともに、木炭のカリウムが土壌改良に役立ちます。手間もコストも掛かりますが、この方法は一向に変えるつもりはありません。
畑の標高は300~450m。石灰質を含んだ砂質の土壌。水はけが良いのに加え光の透過性が高く、根まで日光が届きます。また、海から5km程と近く潮風や雨の中に含まれるヨードによりカビが防がれます。カンティーナの裏にある畑は、斜面下部が樹齢30年、コルドンスペロナートの仕立て。密植度は11000本/ha。斜面上部が樹齢10年、アルベレッロ仕立て。密植度は22000本/ha。最も樹齢の高いモンテプルチアーノが植わる畑は最も標高の高い所に位置します。この畑は樹齢が高いため生育が遅く、一番ヴィンテージの特徴が出やすいといいます。ここにはクプラに使われるボルドの畑もあります。モンテプルチアーノは3.5ha、樹齢95年ほど。ボルドは1.5ha、樹齢110年。密植度は13000本/ha。この畑はとても特別な畑であり、この畑のみに生息する特殊なランやシダがあるため、EUの保護区にもなっています。樹齢の高い葡萄の樹々の周りを様々な植物が生い茂り、まさに「オアジ・デリ・アンジェリ(天使のオアシス)」のような幻想的な風景。
更に、最近植樹した一番新しい畑はなんと40000本/haもの密植度です。植樹の密度を高め品質改善に成功したバローロ・ボーイズの5,000本/ha以上(生産者により異なります)でも高密植と言える位ですから、クルニの密植率がいかに高いという事が伺い知れるかと思います。
密植の目的は株と株の感覚を狭める事により隣の木同士が養分を取り合わない様に根が横に伸びずに真下に行く為、地中深くの色々な土壌の成分を葡萄が得られる事にあります。6~7月には葡萄の房半分を切り落としてしまう為、1株から100g程度しか収獲出来ないほどです。こうした厳しい収量制限により営利目的では決して得ることが出来ない濃い味わいの葡萄を生み出します。その凝縮した葡萄を最大限に活かす為にアルコール醗酵時に新樽を60%。残り40%ステンレスタンクにて行い 更に新樽にてマロラクティック発酵後10~11ヶ月間熟成させ新たに別の新樽に移し替え10~11ヶ月間熟成を更に行う、俗に言う新樽200%熟成を行っております。(残り60%は発酵時の換算です。)
並の葡萄ではこの新樽200%には耐えられませんが、上記のとおり超低収量の葡萄の為、新樽200%に耐えられるポテンシャルがあるのです。逆に言うと新樽を200%掛けないとバランスが取れない程葡萄自体のポテンシャルが高いとも言えます。
そして醸造を行う際の樽や発酵槽などの器具に対してもマルコのこだわりは並々ならぬものがあります。醸造所は斜面をくりぬいて造った地下造り。入ってすぐはステンレスタンクやセメントタンクが並ぶ発酵用のスペース。ステンレスタンクはマストと果皮の触れる面積が大きい横長のタンク。木製の発酵槽はDRCなども使うブルゴーニュのトネリエ、グルニエ社製です。モンテプルチアーノ発酵時、区画毎にステンレスと新樽を使い分けますが、その基準は標高。標高の高い葡萄はタンニンが強いので樽発酵。低い畑はフレッシュさを活かすためステンレスタンクにて発酵します。
卵型のコンクリートタンクはクプラ用。角が無いため内部に対流が起こり、タンク内上部と下部の温度差が少なく、また自然なルモンタージュの効果が得られます。マルコいわく、卵型のタンクはアンフォラの逆型の形状。発酵時内部では同じ流れが起きているとの事。メーカーはフランスのノンブロ社。ノンブロ社はコンクリートタンクの第一人者であり、世界中の有名ワイナリーにて使用されています。このタンクは「セメント+洗浄されたロワールの砂と小石+塩素処理しない天然水」から製造しています。全ての葡萄にて発酵は野生酵母のみ。醸造時のSO2添加はなし。
更に、クルニの代名詞でもある「新樽260%」。それに使われる樽もマルコならではのこだわりが。使用するメーカーは、フランソワ・フレール、メイリューなど。特に、フランソワ・フレールの「Rare」という樽は、アリエやニエーブル産の樹齢100年以上の木材を4年間乾燥させた上級品。(通常は2~3年乾燥)マルコ本人がフランスへ向かい現地にて木材を厳選しております。樽熟成が終わったら瓶詰め。この時のみSO2を使用。総SO2が50~60mg/lになるよう分析し添加。大体10~15mg/l程度です。(EUのオーガニックワインの総SO2規定量は100mg/l)モンテプルチアーノはタンニン分が多いため、元々SO2の添加の必要はあまりないとの事。
マルコ氏は1993年よりワイン造りを行っていましたが「自分自身が納得できるワインでは無かった」為リリースを見送り1997ヴィンテージからリリースを開始しました。ワイン造りにおける畑から醸造に至るまで、一切妥協のない徹底した完璧主義を貫く生産者の姿勢がクルニの品質を支えております。
2014年版ワインガイド各誌掲載文章抜粋
ガンベロ・ロッソ
マルコ・カゾラネッティはエンジニアとして働いていましたが、ワイン好きが高じて、奥さんのエレオノーラと一緒にユニークなワインの生産者となりました。畑の密植度、200%のバリック使用など、情熱的な研究の結果、醸造学、葡萄栽培の世界を変えました。彼の2本のレアワイン、モンテプルチアーノを使った「クルニ」、ボルド(グルナッシュ)を使った「クプラ」は、葡萄品種の特徴や、気候、土壌を上手く表現した人間の才能の賜物です。クプラ2010は驚くほど香りが複雑であり素晴らしい。ラズベリーシロップ、ホワイトチョコレート、ラベンダー、リンドウの花、タイムの香りが綺麗に重なり、口中でも香りが繰り返し、凝縮感とバランスがあります。クルニ2011はいつも通り果実味の爆弾であり、いつもよりストラクチャーがクリーミーです。
ヴェロネッリ
エレオノーラとマルコは気持ちを込めて、小さなワイナリーを経営してます。密植度が非常に高く、樹一本あたり150gが収穫される。その結果が幻のワイン「クルニ」。貴重であり、ワインラバーが憧れるカルトワインです。
エスプレッソ
オアジ・デリ・アンジェリは、ワインラバーが訪問すべきワイナリーだ。特に畑。石灰質土壌により有機栽培され、密植度は10,000株/ha以上。樹一本あたりの収量はたった数グラム。これを更に厳しく選果した葡萄から個性的なクルニが造られます。タンニンの質が高くリッチかつ複雑。また、クプラではボルドという品種を綺麗に表現します。複雑なアロマとしっかりしたタンニンが主な特徴。しかし、生産量が少なく希少。
ビベンダ(旧ドゥエミラヴィーニ)
印象深い二本のワイン。心が癒やされ、忘れられない思い出を与えてくれる。エレオノーラとマルコの言葉を借りるなら、このワインは「合理的な情熱」の結晶です。その「合理的な情熱」には、知恵や自己犠牲、土地の伝統や愛情など様々なものが含まれています。クルニの畑の平均樹齢は95年、クプラの畑は110年となります。素晴らしいワインであり、各葡萄品種を綺麗に表現し、熟成のポテンシャルが非常に高い。クルニの香りは万華鏡のように複雑かつ感動させるほど豪華なストラクチャー。クプラではグルナッシュの可能性を綺麗に表現しているが、生産量が極少なため、手に入れられるのはほんの一握りの幸運な人のみです。
スローワイン
マルコは極端な働き方を選択しました。彼の畑は密植度が高く、栽培方法も独特であり、ワインは非常に凝縮しており、他人には真似の出来ないレシピです。オアジ・デリ・アンジェリには、マルコとエレオノーラの人生が詰まっています。動物や土地、つまり自然に近い生き方を選び、緑に囲まれたSant’Egidio谷に住むことになりました。ここから生まれるワインは、本能から生み出されたように思われますが、実は非常に合理的であり、テロワールや自然のサイクルを観察した結果なのです。その為全てが自然と上手くいっています。
「イタリア赤ワインTop100」にて2年連続総合1位を獲得したクルニ
クルニの2007ヴィンテージが2006ヴィンテージに引き続きMF Gentleman誌がランキング付けした「イタリア赤ワインTop100」の総合得点のNo.1に輝きました。 この評価はイタリアのワイン・ジャーナリストのチェーザレ・ピロン氏が2010年度版の主要ガイド「ガンベロ・ロッソ」、「ヴェロネッリ」、「ルカ・マローニ」 「ドゥエミラヴィーニ」、「エスプレッソ」の5誌に掲載されたスコアを500点満点換算にしてランキングした結果です。すなわちクルニ2006、2007は主要イタリアワイン・ガイドにて最も高い得点を獲得したワインという事になります。
クルニ
KURNI 2021
※クルニを6本お買い上げ頂きますと、オリジナルオリーブオイルを1本プレゼント致します!
(オリーブオイルの賞味期限は2025年4月までとなっております。)
価格 | ¥33,000 (希望小売価格) |
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生産者名:OASI DEGLI ANGELI (オアジ・デリ・アンジェリ) 原産地呼称:I.G.T.MARCHE ROSSO 品種:モンテプルチアーノ100%(平均樹齢70年) 収量:15hl/ha 醸造:畑ごとに醸造。木製の上面開放型発酵槽60%、ステンレスタンク40%にて野生酵母のみを使いアルコール発酵。ピジャージュを2日おきに行ないながらマセラシオン20~25日。新バリックに移し替えマロラクティック発酵後10ヶ月熟成。更に新バリックに移し替え10ヶ月熟成。 年産:7000本
JANコード:4582565772692
2021ヴィンテージ評価 ガンベロ・ロッソ…赤2ビッキエーリ ヴェロネッリ…93点 ヴィタエ…最高賞4ヴィティ ビベンダ…最高賞5グラッポリ ドクターワイン…97点 ルカ・マローニ…97点 ヴィーニ・ブォーニ…最高賞コローネ
各ワインガイド過去評価 ガンベロ・ロッソ…通算11度の最高評価トレ・ビッキエーリ(97,98,00-04,07-10) ビベンダ…22ヴィンテージ連続最高評価5グラッポリ(99-20) ヴェロネッリ…通算19ヴィンテージ最高評価トレ・ステッレ(00-11,13-20)※内、TOP25に値するイル・ソーレ2回獲得(00,06) イタリア赤ワインTop100…2ヴィンテージ連続総合1位(06,07) 3位(08) 4位(10,14) 5位(03,04,09) ドクター・ワイン…97点(2019,2020) ルカ・マローニ…97点(2019,2020) ヴィーニ・ブォーニ…最高賞コローネ(2019,2020)
深く紫がかったルビー。濃密かつ妖艶な、凝縮感のある黒色果実の香りに、チョコレートやバニラ、カカオなどの甘い香りやスパイス、ミネラルのニュアンスも感じられます。アタックはビロードのように滑らかであり、クリーミーな細かいタンニンが広がります。力強い果実味を綺麗な酸味やミネラルが包み込み、濃厚ながらも絶妙なバランスです。 |